11473人が本棚に入れています
本棚に追加
霞の声が聞こえた。
「……ヤマモトアイコが書き溜めた作品は13年前の事件後に出版され、ベストセラーを博した。
そうして、彼女に数多くのファンができた。彼らはヤマモトアイコを精神病棟から脱走させ、再びこの校舎に匿った。
彼女を助けたファンたちは行方不明。それが10年前……かわいそうに。ジュンくんのせいで、彼女は覚えることができないの。
いくら水を与えても水を欲しがるし、すぐに逃げようとするし……それに」
山本愛子はふらふらと立ち上がった。手には錆びたナイフが握られている。
そして、壁の隅にいる石川真利江に気付いた。
「あっ……殺さないと……華麗に……」
山本愛子が、石川真真利江の頭部に、錆びたナイフで一文字を描いた。
「アンッ、アッ」
けど、石川真利江は不気味に喘ぎ、噴き出した血はすぐに止まった。
山本愛子は返り血を舐めると、再度化け物の頭部を刺した。
俺は呼吸を忘れるほど戦慄し、全身には鳥肌が沸いていた。
最初のコメントを投稿しよう!