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【1999年8月8日19時30分・東京 泉澤家】
あのあと。俺はホテルに戻り、担任の先生にありのままを話した。
すぐに警察と地域の自警団があの廃校に向かい、神山霞の捜索が始まった。
けど神山霞の姿も、石川真理江の姿も、山本愛子の姿も、美藤祐の死骸も見つからなかった。
俺は何度も同じ話をさせられ、頭がおかしくなりそうになった。
俺のせいで修学旅行は中止になった。けどそれはどうでもよかった。
──あいつが来る。霞が、あの黒い女が。
俺は自宅に引き籠り、およそ1ヵ月間、ベッドから出られなくなった。
思ったんだ。
霞は、俺が死霊で、生まれ変わるために目や心臓を奪い、人に成りすましていた死霊の子だと言っていた。
……けど、霞って嗅覚と触覚がないんだよな。
それって、奪われたんじゃなくて〝奪い損ねた〟んじゃ──。
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