炭の章 山本 愛子

7/38

11466人が本棚に入れています
本棚に追加
/312ページ
長々しくクドい挨拶の後に、意味不明な賛辞の文面が続いている。 【今回の作品程、続きが気になったものはありません。教師という大変なお仕事をされながらも傍らにこのような素晴らしい作品を書き上げるなんて、私は驚くばかりです。 しかし、あなたにはいずれ必ず、ミステリー作家として評価される日が来るでしょう。 デビューはきっとそう遠くはありません。特に今回のラストシーン、手に汗握りました。動悸が激しくなり、呼吸も乱れる程でした。特に、主人公が──】 読み終えた1枚目を雑に捲り、床へ落とす。 その時。 ドンドンドンドンドン!! 突然響いた乱暴な音に、身体がピクリと反応した。それは玄関のドアを誰かが力一杯叩く音だ。 「山本先生!! 山本先生いますか!? 大丈夫ですか!」 ──山本? 誰、それ。 2枚目の便せんを握りしめたまま玄関へ向かって歩き、魚眼の覗き穴から外を見ると、小さな穴から血相を変えた男が歪んで映る。 「山本先生! 大丈夫ですか!? 今この寮の中が大変な事になってるんです! どうやら学校もらしいんですが、山本先生は大丈夫ですか!?」 ──寮? 学校? 先生?  
/312ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11466人が本棚に入れています
本棚に追加