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まぶたがピクリと痙攣した。
酷く狂気的で残酷な文章のはずなのに、何故か私は興奮している。
【十秒。女はそれ以上の時間をかけない】
それ以降のページは無い。
前ページへスクロールしながら食い入るようにこの不思議な文字列を目で追う。
【爪を剥がす感触は、これまで感じたどれとも違う、不思議な浮遊感すら感じる。──七月八日】
【ようやく取り出した太い骨は美しいカーブを描き、私を魅了する。──七月八日】
まるで日記のようだと思った。
ふいにワープロのディスプレイの右上を見ると、七月八日と日付が表示されている。
つまりこれが日記だとすれば、今日の出来事という事になる。
──誰の日記なのかしら。
深く興味が湧いた。読み進めるたびに心臓はみるみる鼓動を早めるが、この感情は恐怖でも混乱でもない。
あえて表現するならば、そう、まるで──。
「憧れ……?」
ガダン!!
突然聞こえた物音に激しく不快感を感じながら、膝立ちになり辺りを確認するが何も見えない。
誰もいないはずだ。何の物音だろう。
猟奇的な女性の妄想に陶酔していたのに邪魔をされ、気分はかなり最悪だ。
ワープロの前に座り直し、もう一度陶酔に浸ろうと画面に視線を移す。
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