炭の章 山本 愛子

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外に出してもなお不快感は消えず、仕方無く私は男を抱え、手すりを越えて階下へ落とす事にした。 背負うように抱えると、男の頭部が肩へもたれ、口からドロリと赤黒い液体が吐き出される。 イライラは増すばかりだ。 やがて、長い時間をかけたものの、男の体重を徐々に預けながら、やっとの思いで大きな体を手すりに乗せる事ができた。 あとは、落とせばいい。 それから一旦深呼吸をして、再度男の体に手をかけ、思い切り力を込めて押し出した。 すると、男の体は音も無く手すりから離れてゆく。 直後に、ドサア!!という音が響いた。男が地面に到達したのだろう。 キャアアアアアアアアアアア!! はるか下の方から沢山の人間の悲鳴が響いた。 この建物の前には何故か多くの人間が集まっている様だ。 たった今落ちて行った男を取り囲むように、更に人間が集結している。 ただし、特別興味もわかなかった。  
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