11473人が本棚に入れています
本棚に追加
外に出してもなお不快感は消えず、仕方無く私は男を抱え、手すりを越えて階下へ落とす事にした。
背負うように抱えると、男の頭部が肩へもたれ、口からドロリと赤黒い液体が吐き出される。
イライラは増すばかりだ。
やがて、長い時間をかけたものの、男の体重を徐々に預けながら、やっとの思いで大きな体を手すりに乗せる事ができた。
あとは、落とせばいい。
それから一旦深呼吸をして、再度男の体に手をかけ、思い切り力を込めて押し出した。
すると、男の体は音も無く手すりから離れてゆく。
直後に、ドサア!!という音が響いた。男が地面に到達したのだろう。
キャアアアアアアアアアアア!!
はるか下の方から沢山の人間の悲鳴が響いた。
この建物の前には何故か多くの人間が集まっている様だ。
たった今落ちて行った男を取り囲むように、更に人間が集結している。
ただし、特別興味もわかなかった。
最初のコメントを投稿しよう!