1章 南へ

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イヴァール領を出たライトとイセルナ。 彼らは一路、南へ向かっている。 実は南には魔獣は多くない。 帝都を中心として散った魔獣。 そのためか、帝都を中心とした範囲に多くが生息する。 それも強い魔獣がだ。 だが弱い魔獣は強い魔獣に追われたのか、大陸中に散らばっている。 何故だか西南大陸グローシアにも数体存在するようだ。 アチラの魔獣はコンセッターの自爆に巻き込まれて全滅した筈である。 なのに何故存在するのか… それに対しダッガードが告げる。 『おそらくでおじゃるが…  こちらの大陸から移動した魔獣がいるのでおじゃろう。  元々魔獣は死の大陸に集まっておったのおじゃる。  それが、北東大陸である此処ラングリッサーと西南大陸グローシアへ移動したおじゃるよ。  そう考えるに、アチラの大陸へ移動することも十分考えられるであろうのぅ』 確かにありえる話ではある。 まぁ、事実は分からぬが。 無論、魔獣を監視している聖霊ならば詳しい情報を知っているであろう。 そういう意味では、ダッガードもシャイラードも知っていてもおかしくはない。 しかし2人も全てを知っている訳ではないのである。 魔獣を監視する聖霊がいる。 彼らからの情報を逐次確認する部署があるのだ。 そこで情報を整理し管理を行うのだった。 魔獣の被害が、見逃せない事態にまで発展すれば、上まで報告が上がるだろう。 だが、移動した位の情報では、2人がいた部署にまで報告が上がらないのだ。 そのため2人とも、詳しくは知らないのである。 無論、情報を取り寄せることは可能だ。 ただ現在、極力聖霊達との接触を絶っている。 何故ならば、イセルナのことがあるからだ。
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