1章 南へ

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イセルナは魔人の先祖返りである。 力は制御され、魔人を遥かに超えた存在となっている。 ライトと同格の超人だ。 しかし、頭の固い聖霊に知られれば、禁忌を犯した魔人として処断されかねない。 そのため、聖霊とは接触できないのである。 ただ、魔獣の分布についての報告は2人とも聞いてはいた。 魔獣討伐の旅に出た2人には、その情報が開示されているのだった。 2人の移動は徒歩である。 但し、移動は道ではなく宙であるが… 現在の目的地は南に居る魔獣3体。 その後は死の大陸だ。 死の大陸では、新魔術の構築を行うのだ。 ヴォルキンがネットから探し提案した、あの魔法である。 ワームホール。 ブラックホールとホワイトホールを使用した移動魔術である。 前例の無い魔術であり、制御を誤ると非常に危険だ。 そのため、滅んだ大陸にて開発するのだ。 移動は宙を進むため早いと言える。 だが、イセルナは光と闇の聖霊とは契約していない。 そのため、ライトほどの速度では移動できないのである。 自然とイセルナの歩みに合わせることとなるのであった。 ライトからしてみたら、別段急ぐ旅ではない。 いや、急ぎたくないと言えば嘘になる。 しかし、直ぐに元の世界へ帰れたとしても、既に大学は始まっているであろう。 ライトの神崎 禮斗としての存在も危ぶまれる。 失踪人、いや、死人扱いになっているかもしれない。 そう考えると、今更急いでも、仕方ないと考えるライトであった。 一方、イセルナであるが、自分が旅程を遅らせいてると考え、気にしている。 ライトは何度も、{気にしないように}と、告げているのだが… (気にするな)と言うのも無理である。
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