1章 南へ

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かと言って、お姫様抱っこでの移動は、イセルナが嫌がるのでできない。 (自分の足で移動したい)と思うが、(お荷物になりたくない)と思っているのも、本音である。 また、精霊である妻達が、贔屓と言って煩い位に言ってくる。 これにはライトも苦笑して引き下がるしかなかった。 「………  ふぅ。  気にしなくて良いって言ってんのになぁ」 呆れたように呟いた後で告げる。 「イセルナ。  一度下へ降りるよ」 唐突に告げられ、ハッとするイセルナ。 気付いた時には、既にライトは下へ向かっていた。 直ぐにライトに続くイセルナ。 ライトは森の中の空き地を見付け降り立つ。 直ぐにイセルナも降りて来た。 「鍛練にもなるから徒歩での移動と考えてたんだけど…  イセルナが気にするから、乗り物で移動するよ」 そう告げてくる。 (え~っとぉ?  乗り物なんて何処に?) 困ったように辺りを見回すイセルナ。 そんな彼女を見て、困ったように告げるライト。 「あのね、イセルナ。  今から創るから、探してもないよ」 そう告げられて、イセルナも気付いたようだ。 ライトが精霊達の力を使用して物を作り出すことができるのを… そして自分も、それが行えるのをである。 とは言え、最近まで普通の黒魔術師だったイセルナ。 そんな常識外のことを、自分ができるなんて忘れてしまっていたのだった。
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