第6幕 深まる疑問

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第6幕 深まる疑問

「…………」 キョウは暗い部屋のベッドの上で眠りに付こうとしていたが、うまく寝付けなかった。 あの後話が終わって、泊まる所がないのならこの部屋を使いなさい、とプリモから2階の客間に案内されて今に至る。 「海に選ばれし勇者かぁ……」 キョウは天井を見上げながら呟く。 唐突過ぎてあまり実感が湧かないな……。 そもそも何でこの世界の者でもない俺が選ばれるんだ? この世界は、俺の何を判断して、選んだんだろうか……。 それに勇者と言っても、実際何をするのかも分からない。 話に出てきたメアという女性……プリモさんは海の生まれ変わりに近い存在って言ってたけど、彼女は一体何者なのだろう……。 分からない事が多すぎる……。 今まで日々の生活に退屈していて非現実的な事を求めていた自分が、今ではその望んでいた非現実的な事に混乱している。 傍から見たら滑稽以外の何物でもない。 俺は一体、どうなってしまうのだろう……。 俺は一体、これから何をすれば良いのだろうか……。 様々な疑問が頭の中を駆け巡って行き、キョウは全く眠れなかった。
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