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しかしそれを思って、彼を勇者とするのは果たして間違っていない事なのだろうか。
もし雰囲気だけでなく行動なども似通っていたら、キョウは同じ運命を辿ってしまわないのだろうか。
「…………」
エンリコはそう考えながらも電話の前に立ち、受話器を取って耳に当てる。
「……こちらS.E.A.……」
低い声を聞いて、エンリコは相手が誰なのか分かった。
「ピュテアスか?私だ、エンリコ・ザンビーニだ」
「エンリコさん……一体どうなされました?」
夜遅くに掛けてきたのが原因だろう、エンリコの電話の相手であるピュテアスは早速尋ねてきた。
まあ、何かあったからS.E.A.にかけたのだから、時間帯は関係ないか。
「簡潔に述べるぞ。ある少年が異世界からやってきた。名前は東キョウ。この世界に来た時の過程から、選ばれし勇者である可能性が高い」
「……それは事実ですか?」
ピュテアスが若干驚いているのが聞いていて分かった。
「ああ、今2階の客間で彼は眠っている」
エンリコの言葉を聞いて考えているのか、ピュテアスの返事は少し経ってからきた。
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