第6幕 深まる疑問

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しかしそれを思って、彼を勇者とするのは果たして間違っていない事なのだろうか。 もし雰囲気だけでなく行動なども似通っていたら、キョウは同じ運命を辿ってしまわないのだろうか。 「…………」 エンリコはそう考えながらも電話の前に立ち、受話器を取って耳に当てる。 「……こちらS.E.A.……」 低い声を聞いて、エンリコは相手が誰なのか分かった。 「ピュテアスか?私だ、エンリコ・ザンビーニだ」 「エンリコさん……一体どうなされました?」 夜遅くに掛けてきたのが原因だろう、エンリコの電話の相手であるピュテアスは早速尋ねてきた。 まあ、何かあったからS.E.A.にかけたのだから、時間帯は関係ないか。 「簡潔に述べるぞ。ある少年が異世界からやってきた。名前は東キョウ。この世界に来た時の過程から、選ばれし勇者である可能性が高い」 「……それは事実ですか?」 ピュテアスが若干驚いているのが聞いていて分かった。 「ああ、今2階の客間で彼は眠っている」 エンリコの言葉を聞いて考えているのか、ピュテアスの返事は少し経ってからきた。
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