第1幕 退屈

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こうしている間にも、いつの間にか家の前に着いていた。 キョウはいつも通り扉を開ける。 「ただいま」 「あら、お帰り」 キョウが帰ってきた事に気付いて、彼の母親が玄関まで出迎えた。 「今回の中間テスト、出来はどうだったの?」 「ああ、その話……聞く必要ある?いつも通りだよ」 キョウはそう返すと、母親の横を通る。 「しばらく部屋に入ってるから、晩御飯出来たら呼んで」 そう言って、キョウは自分の部屋に入った。 真っ暗な部屋……。 キョウは電気を点けると、ベッドに仰向けに寝転んだ。 「…………」 電球の光が眩しくて、思わず手をかざしてしまった。 ……昨日と同じだ。 これから俺は晩御飯が出来たと母親に呼ばれて、食べて、風呂入って、歯磨いて、明日の宿題などを片付けて、寝る。 昨日と変わらない……いや、一昨日もそうだったな……。 きっと明日も……明後日もこんな感じで1日が過ぎていくんだろう。 何の為に人生ってあるんだろうな……。 そもそもこんなループした1日を送って、生きている意味なんてあるのか? 分からない……俺は何の為に、誰の為に生きているんだ……? こんなに退屈な人生だったら、ないのと同じだ……。
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