第1幕 退屈

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「っ?」 何だか周りがやけに騒がしい。 いつもと違うぞ……? キョウは不思議に思い、イヤホンを外して騒がしい方向を見つめる。 その光景を見てキョウは目を見張った。 「っ!」 線路の上に小学生くらいの男子がいた。 しかも更に驚くべき事がある。 急行でこの駅を通り過ぎる予定の電車が、もうすぐ目の前まで迫ってきていたのだ。 このままだとこの子は間違いなく電車に轢かれてしまう。 しかし周りの人達は子供を見て騒ぐだけだ。 「どうして騒ぐだけで周りは誰も助けようとしないんだ……っ!」 キョウは舌打ちをしながらそう呟く。 そして彼の身体は勝手に動き、駆け出しながら子供のいる線路の上にダイブしようとしていた。 退屈だと思って何か変わった事が起きないかなといつも嘆いてたが、まさかこんな形で実現するとはな……。 自分の今の咄嗟な行動にも驚いてるけど、とにかく、今は目の前にいる子供を助けないと……! 「掴まれぇっ!」 キョウは飛び下りながら子供に向かってそう叫ぶと、子供の腕を掴み、思い切りホームへと投げる。 これで子供は助かる……だけど今度は俺が危険だ……! 「っ!」 電車はもう目前にまで迫っていた。 駄目だ……助からない……! キョウは電車のライトを浴びながら、咄嗟に目を閉じた。
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