第141幕 一味による来襲

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そう言いながらアンは顔を少しだけ俯かせる。 ヒンはそんなアンを見ながらいつもと変わらない口調でその質問に答える。 「……さぁな……。俺はここの人間じゃないからな……ここの事情なんざ分からない。だけどそれに対してあいつらはここの専門家だ。知識のない事を考えても時間の無駄だし、その分野の人間の言う事を信じるしかないだろ」 「それはそうだけど……。ここの人達は、そのヴィランにキョウをぶつけて倒そうとしてるのよ?キョウを全面的にザポートするって言ってたけど……それでも仮に上手くいったとしても……彼は……」 「それほどそいつの力が強大って事なんだろう?」 「…………」 ヒンの言葉にアンは黙る。 対してヒンは更に言葉を続ける。 「既に前の勇者が2人も倒されてる……。その時点でそいつの力量は明白だ。それを踏まえたら、あいつらの考えは妥当な判断だ。取り戻す気で挑んだら間違いなく負ける。倒す気で挑まないと、絶対にヴィランには勝てない」 ヒンはそう言ってふと苦笑いを浮かべ始めた。 「この話、キョウには言わない方が良いな……。ただでさえ今の状態ですら、挑んで勝てる保証はないんだ。そんな状態であいつがこれを知ったら、本領も発揮出来ないだろう。分かったな、アン……この世界を守りたいなら、キョウには絶対に言うなよ」
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