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ここは落ち着いて、ナイトの行動を常に注視しないと……。
「キョウ、大丈夫か……?」
「はい……。危険なので下がっててください……!ここは俺が……っ!」
レオナルドはナイトの方を見やりながら、キョウに尋ねると、すぐに彼から言葉が返って来た。
この反応から見て、おそらくキョウはまだ彼の正体を知らないようだ。
これが幸か不幸かどちらかなのかは分からない。
正体を知る、知らない……考え方によってはどちらも不幸に捉えられる。
「…………」
今、ナイトの放った魔法をキョウが剣で弾き返し、そのままキョウはナイトに一撃を加えようとしている。
何故……彼らは戦わなければならないのか……。
全てはあの男のせい……あの男が始まりだ。
あの怪物によって、この海は残酷という名の膜に包まれてしまった。
勇者側とヴィラン側……どちらが勝っても、ここの住人にとっての悲劇は必ず舞い起こる。
「……っ!」
キョウがナイトに弾き飛ばされた。
「キョウ……っ!」
レオナルドは思わず身を乗り出す。
何故自分はここまで非力なのだ……。
目の前の少年は危険を承知で勇敢に敵に立ち向かっていくのに対し、自分は彼の手助けすら出来ずにただその場で立ちすくむのみ。
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