第2幕 見知らぬ世界

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第2幕 見知らぬ世界

「……ん、んん……」 キョウは意識を取り戻し、目をゆっくりと開ける。 「ここは……?」 そして周りを見渡しながら立ち上がる。 ここはどこだ……? ちょっと待て、そもそも何で俺はここにいる? 確か……小学生くらいの男子が線路に転落して、自分もホームから降りて、男子の腕掴んでホームに投げて、その時電車の光が目の前に……。 …………え、それってつまり……。 「俺……死んだのか?」 キョウは思わず呟いた。 まあ、普通に考えたらそうだよな……。 本来、あの電車に轢かれているであろう自分が違う所にいる。 それは要するに既に轢かれて痛みを感じなくなったって事だ。 「だとしたら……ここは黄泉の世界か?俺の想像とははるかに違うけど」 キョウは呟きながら苦笑いを浮かべる。 ああ……俺は死んだのか……。 まだ14歳だって言うのに、早くも死を迎えちゃったよ……。 まだまだ人生これからのはずだったのに……でも退屈な人生は御免だけど。 それにしても、こんなに楽に逝けるもんだったんだな。 死ぬ事に対して恐怖はあったけど、死んじゃうと案外どうでも良い事だな……。
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