1人が本棚に入れています
本棚に追加
呆れたようにみせても、そこまで誰かを想えることがどこか羨ましくて。
あたしも恋ができれば、この灰色な日々に終止符が打てるんじゃないかと思った。
そう。
ただ、それだけで。
決して非現実や非日常を呼びたかったわけではない。
非日常なんて父親の存在で十分間に合っている。
なのに。
何とはなしに振り返ったあたしは、思わず悲鳴をあげて。
投げつけた枕は、“彼”を通過した。
「俺だって来たくて来たんじゃねーのに、随分な歓迎の仕方だな? おい」
──幽霊?
ほんと、ありえない。
あたしの部屋の、扉の前に。
半透明の男の子が、不機嫌そうに佇んでいた。
最初のコメントを投稿しよう!