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「飛鷹先生、さっきのお話なんですけど」
本城マリアは、学生食堂で女子学生に囲まれて食事をしていた飛鷹雄司の傍らに立ち、声を掛けた。
「私は納得できません!」
「本城君また君か。ちょっと待ってくれよ。今、食事中な――」
飛鷹を遮り、手にしたノートの文字を指で追いながら話を続ける。
「飛鷹先生は甘過ぎです。あの場合はフラッディング法を用いた方が良いと思うんです。クライアントが潜在的な恐怖の原因への洞察を得られるよう援助する事より、それに立ち向かって恐怖のサイクルを打ち消すように……」
そこまで口にして、マリアは飛鷹に目をやって言葉を止めた。
「ねえぇ、飛鷹先生ぇ。今度テニス同好会で合コンやるんですけどぉ、参加していただけませんかぁ?」
「いいね、いつやるの?都合によっては行けるかも知れないし……京子君が参加するなら、考えてもいいよ」
「あ~京子ズルイ!私が先よ!ねぇ飛鷹先生、うちの合コンの方に――」
「先生が出席されるんなら私も……」
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