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ジュウザと呼ばれた男は返事をせず、手元に視線を移した。手にしたナイフを磨き始める。少年はびくびくしながら話かける。
「あの、ジュウザさん、面白い話があるんですが」
「なんだ」
ジュウザはナイフに目を向けたままだった。
「はい、遊々隊のリーの女なんすけど」
「アネか、あいつがどうした」
「さっき男3人に追われてました」
「追われてた」
ジュウザは少年に目を向けた。
「はい、追ってた男たちは、うちの隊の人じゃないんで、よそ者じゃないかと思います」
「それで」
ジュウザは視線をナイフに戻した。
「いや、仲間なら助けるトコなんすけど、ほっときました。今ごろどうなってるか」
にやけながら話す少年にジュウザはポツリと言った。
「気の毒にな」
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