16人が本棚に入れています
本棚に追加
遊々隊のアジトでリーは椅子に座っていた。のけ反って伸びをしたとき、幹部のマルが声をかけた。他には誰もいない。
「リーさんはアネさんのどこに惚れたんすか」
「可愛くて、セクシーで、強いところ」
リーは恥ずかしげもなく即答した。マルは迷うことなく答えたリーに少し驚いた。なぜだかこっちが恥ずかしくなる。
「か、可愛いとセクシーは分かりますけど、強いってのは芯が強いって事ですか?」
「いや、強いんだ」
マルは首をかしげ、また言った。
「だから心って事ですか?」
リーはニッと笑うとマルに顔をちかづけた。
「俺があいつと出逢った時の話、聞かせてやるよ」
「は、はぁ」
リーは椅子に深く身体を預け、天井を見つめた。懐かしむような表情になると、話始めた。
「俺がぼちぼちと道を歩いていた。そしたら女が男に追いかけられてるのが目にはいった。公園に逃げた女はついに追い詰められた。男はナイフ持っててな。助けてやるかって思ったんだが、そんな必要なかったわ。女が少しずつ姿勢を低くしていった。あっ、と思ったら男のナイフが手首ごと飛んでった」
最初のコメントを投稿しよう!