問題じぃ

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問題じぃ

賑わう港から内陸部へ行くと国道が走っている。さらに奥地へ行くと商店や住宅が建ち並ぶ地区がある。そこから先は田畑が広がり、遠くには山並みが映る。昔ながらの風景も、港が活気づくにしたがい変わりはじめていた。人口が増え始め、住宅地がここまで広がってきていた。知らない顔が少しずつ増えている。 古くからの住民がよく集まる小さなスーパー。ここを中心にして、周りには食堂や衣料品店、不動産屋などが軒を連ねていた。そこから少し離れた場所にその店はあった。 リーはふたり乗りしてきたバイクを店の前に止めた。遅れてもう1台、幹部のマルがバイクを止める。 「おい、ジィジィ!」 バイクを降りたリーは、すぐに店の奥に向かって大声をだした。 「じじぃ!、いるんだろ、出てきやがれ」 そう言いながら、バイクが20台ほど並べられてある店内に足を踏み入れた。とたんにリーは驚きの声を発した。 「おわっ」 入口付近に展示してあるバイクの下から、小柄な老人が立ち上がった。リーは驚きの声を隠すように言う。 「な、なんだ、居るじゃねぇか」 スパナとタオルを手にした白髪の老人が言う。 「何の用じゃ、大声出しおって」
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