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「そうなんすか」
居心地が悪くなり、リーは店の外に出た。
「飯でも食ってくか」
そう言うと歩きだした。若者は見当たらない。すれ違う年配者がリーを見つけると声をかけてくる。マルがまたアネに聞いた。
「知り合いが多いみたいですね」
アネは笑顔で穏やかに答える。
「そう、だってリーはこの近くで育ったんですもの」
「あっ、そうなんすね」
アネはよゆっくりと頷いた。
いつの間にか先を歩いていたリーが立ち止まっていた。食堂の前に木製のベンチがあり、そこに坊主頭の背を丸めた老人が座っている。視線を地面に向け、眠っているようにも見える。マルはアネと共にベンチに近づいた。マルは食堂に入るのかと思っていたが、リーが動こうとしない。表情を見ると、冷めた目をベンチの老人に向けている。いつもの明るさが消えていた。
いきなりリーが行動にでた。素早い動きで老人の坊主頭に平手を打ち込む。瞬間、老人は丸まった背中をさらに丸め、リーの攻撃をかわした。
マルは急に攻撃したリー、素早い動きでかわした老人、両方に驚き息を飲んだ。
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