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「もう、止めなさいって」
アネは二人の間に入って言った。オヤジはいつの間にか片方の手のひらをアネの放漫な胸に置いていた。
「やだ、お父様ったら」
リーの顔がみるみる紅くなっていく。
「こ、こ、この、許さん!」
リーが鬼の形相でオヤジに攻撃しようとした。その時、アネの手がオヤジの坊主頭を叩いた。避ける事なく受け止めたオヤジは頭を押さえた。おどけながら言う。
「おー痛い」
「て、てめぇ、俺のは避けても、アネのは避けきれねえってのか」
マルはこんなに怒っているリーを見たことがなかった。オヤジはリーを挑発する。
「まっ、そういう事だ」
言うと笑い声を張り上げた。リーは苦りきった表情を浮かべると、オヤジに背を向け歩き始めた。笑い終えたオヤジが、リーの背中に声をかけた。
「ところで、この若者は誰だ」
マルの事だ。リーは立ち止まり、ふり返ると言った。
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