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「ドラ、行ってこいよ」
立ち上がったドラが車に近づいて行った。
「なんすか」
おやじは返事をせずに、誰も座っていない助手席の方を向いて、なにやらゴソゴソやっている。ドラが窓から覗きこもうとした時、おやじが振り向いた。そしてドラにビニール袋を差し出した。
「これ、差し入れだ。精力つけてくれ」
「あっ、すんません。ありがとうっす」
手渡したおやじは、意味深い笑みを浮かべると車を発進させた。
ビニール袋をさげ戻ってくるドラに、タツが言った。
「なんだった」
「差し入れもらいました」
「そうか、どれどれ」
タツとリュウは立ち上がった。ドラが袋の口をひろげるとタツが手を入れた。
取りだしたバナナを見て、リュウが言った。
「八百屋らしいな」
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