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大きなキッチンに漂う、何とも美味しそうな匂い
まな板の上には、色とりどりの高級食材
その近くには、新鮮な魚や肉
それらもまた、高級なものばかり。
そんな高級食材たちに囲まれ、
周りには少数ながら、腕の立つシェフ達に囲まれながら、大きな鍋に入っているスープを味見する、1人の"少年"。
美しく、妖艶さを纏った動きに周りにいる者たちの顔が仄かに朱に染まる。
「…どう、ですか?"料理長"…」
1人の若いシェフが声を掛ける。
『…うん。美味しい。』
その言葉を聞き、その若いシェフは安堵の溜息を吐く。
料理長と呼ばれた少年が、今し方味見した料理を作ったと思われるあの若いシェフの方へと、顔を向けた。
『腕上がったね~。これなら、お客様に出してもいいと思う。』
「えっ!?!? そそそそんなっ!!!! 自分はまだ此処に来て短いですしっ!!! まだまだ下っ端の俺が…お客様に自分の料理を出すなんてっ?!!」
『下っ端とか関係ないよ。美味しい料理が作れるかどうか。ただそれだけ。それ以外の事は、ここじゃ何の意味も持たない。』
「ですが…自分の料理なんか…」
『…あのさ、"この俺"が美味しい、って言ってるんだけど。』
「うっ…」
少年の言葉に、声を詰まらせる若いシェフ。
『ココでは、この俺が"ルール"。俺がイイと言えば、イイ。俺が美味しいと言えば、それは美味しいの。その俺が美味しい、って言ってんだから。…自信持っていいんじゃない?』
「!!!! はいっ!!!!」
若いシェフは、嬉しそうに大きな返事をした。
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