平穏の終わり

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いつも通り、朝のホームルームが始まった。 「みなさんおはようございまーす。  今日から副担の田中先生が産休に入ったので、  こちらの神崎先生がその間みなさんの副担になってくれます。  では神崎先生、軽く自己紹介をお願いします。」 「はい。」 今まで担任で隠れていた神崎が教壇に立つと、教室中の女子から悲鳴のような歓声が起こる。 ぼーっと窓の外を眺めていた怜はあまりの歓声…もとい騒音に軽く顔をしかめた。 前を見ると、黒いスーツを着た男が教壇に立っていた。 薄茶色の髪、温和そうで爽やかな顔立ち、女子の好きそうな顔だな。と怜はぼんやり思った。 「神崎 優。  齢は24です。担当科目は数学。みなさんよろしくお願いします。」 そう言ってニコッと微笑めば、また女子から凄まじい歓声が上がる。 あまりの騒音に、怜は切実に帰りたいと思った。
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