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「そんなに警戒しなくても大丈夫ですよ。」
そう言って近づいてくる神崎の目を見た瞬間、
ドクンッ
自分の中の力が一気に膨れ上がる。
「っ…かはっ!!」
まるで今まで湧き出ていた力がいっきに暴れ出したかのようだった。
あまりの衝撃に耐えられず、そのままフェンスに寄りかかって座りこむ。
「…っぅ!」
自分の中で何かが暴走しているかのような苦しみだった。
…やばい。
力が自分の中から溢れ出ようとしている。
本当に意識が持って行かれそうだと思ったその時。
『落ち着け。ゆっくりと呼吸して、力を循環させろ。』
なぜか無意識にそう思った。
いや、思ったというより、まるで頭の底から誰かが語りかけてくるような。
その声に素直に従い、怜は極力呼吸を整え、
今自分の中にある力を体中に循環させるようにイメージする。
すると徐々に今まで荒れ狂っていた力が、だんだん治まってくる。
体の中を強大な力が巡っていく。
暴走しかけていた力は均衡を取り戻し、怜は深く息を吐きだした。
しかし、怜の体中には昨日までなかったはずの力が満ちていた。
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