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「れい…。ごめん…」
「なんだよ!どうした。今どこだ!!」
「どっかの…倉庫…かな。怜、来るなよ…今すぐ逃げた方がいい…。
あいつ…人間じゃない…みたいで。お前を狙ってるみたいだった…。」
人間じゃない。
その言葉に体が凍りつく。
瞬時に理解した。海の傍にいる奴が何なのかも。
海がそいつに攫われた理由(わけ)も。
「まさか…妖魔か…?」
茫然と呟く。
「当ったりー。」
いきなり携帯から場違いなほど明るい声が聞こえてくる。
「お前…!!」
「お察しの通り、俺は妖魔一族の中級妖魔、名は羅史(らし)。
お前、破魔の一族なんだろう? しかもなかなかの霊力だ。
なあ?紫堂 怜。」
霊力をもっていることがばれている。
あいつらには霊力を感知することができるのか?
どうやら怜が一族の次期当主ということは知らないらしいが、
いちいち馬鹿にしたような声の調子が癇に障る。
「だったらどうした。そいつは普通の人間だ。海は関係ないだろう。」
「こいつ、お前のダチなんだろ。
この前楽しそうに一緒に歩いてたもんな?
あの時お前がこっちを見たときは焦ったけどね。
気のせいだと思ってくれたみたいでマジほっとしたわー。
あの僅かな殺気に気づくとは流石だねぇ。
…ほんとはこの海って奴にお前をここへ連れて来いって言ったんだがな?
連れてくるどころかお前のことを何にも話さねえんだよ。
いくら痛めつけてもな。」
その言葉を聞いて怜の体に怒りが満ちていく。
「てめぇ、それ以上海に手ぇ出したらぶっ殺すぞ。」
唸るように、殺気のこもった低い声で怜が言う。
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