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「おぉ怖っ。やれるもんならな。
その前に、俺のいるところがどこか分かるかなー?
早く来ないとダチがどうなっても知らないぜ?」
羅史は、いっそ楽しげにそう言って電話を切った。
「くそっ!!」
怜は携帯をきしむほどの力で握りしめる。
「どこだ…。倉庫なんてあちこちにある。どこを探せば…。」
そして怜はふと思い出す。
「奴が俺の霊力を感じ取れたなら、
俺にも奴の妖力を辿ることができるかもしれない…」
そう思った怜は、霊力を乗せ、言霊を紡ぐ。
海のもとへ辿りつく、ただそれだけを想って。
「わが身に宿りし力よ
その力において 我に仇なす敵への道を指示(さししめ)せ。」
術が完成すると同時に光の軌跡が、ある方向を示す。
「あっちか…!あの方向にある倉庫は確か港に一つだけ。
海…頼むから無事でいろよ。」
怜は祈るように呟いて、倉庫までの道のりを疾走していった。
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