銀の月

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起きると、外はもう朝だった。 ベッドに体を起こし、さっき見た夢を思い出す。 「あれは…」 見たことのない人達。 でもどこか懐かしい。 「おはよう怜!!」 学校へ行く道を歩いていると後ろから声をかけられた。 「…なんだ海か。」 怜に声をかけたのは 「なんだってひどくね―?  朝から無表情だなおい。   たまには爽やかに『おはよう海!!』とか言ってみろよ―」 「うるさい黙れ喋るな。」 「ははははは― 朝から俺傷つくぞー?」 「お前、俺が朝の機嫌最悪なこと知っててやってるだろ。」 「あー。ばれちゃったー?」 悪びれる様子もなく舌を出す海。 「…やめろ。かわいくもなんともないぞ。」 「怜ひーどーいー。  俺は少しでも怜のテンションが上がればいいと思ってやってるのにー。」 「いらん世話だ。」 怜はにべなく言い放つ。 「…まったく。  なんでお前がモテるのか俺にはさっぱり分かんねーよ。  顔は良くても内面に問題大アリ…」 怜は無言で海に蹴りを入れる。 「痛いっ!!」 これでも喧嘩はまあまあ強い方だと自負している怜の蹴りは、なかなかの威力をもっている。
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