130人が本棚に入れています
本棚に追加
それから1ヶ月。
全員が高卒レベル・・・いや、それ以上の教養を身に着け、何人かは職を見つけた。
斑鳩君に至っては起業してしまった。
恐るべし頭脳だね・・・
でも・・・
みんな今までの事を振り返ろうとすると所々に記憶の穴がある。
ゼウスに記憶を消されてるから当たり前と言えば当たり前だけど。
僕としては誰かが思い出してくれることを願ってる。
そんなことはあり得ないとわかっていたとしても・・・
あり得ないとわかっていても願いたくもなるよ。
親友の親友が親友のことを忘れちゃうなんて・・・
そんなのおかしい。
どうしてみんなの救世主が救世主のことをわからないの?
理不尽だ。
「渡君?」
自問自答を繰り返す中で僕にかけられた声。
前を見ると奏ちゃんと刹那さんが。
「ん?どうしたの?」
「ちょっと相談に来たんだけど・・・」
「逆に相談に乗ろうか?」
あちゃー・・・
心配させちゃった?
黒夜と約束したんだけどなぁ・・・
「大丈夫大丈夫。約束は守るから」
一番の被害者になってしまった男の約束を守らないと、救われた意味が無いからね。
「約束?」
「あ、気にしないで。それより相談って?」
「えっとね、私達を助けてくれたって人のことなんだけど・・・」
「それなら僕から話せることは無いよ?」
「それって私達にとってとても大事な人だったんじゃないの?」
なっ!?
まさか思い出してくれた!?
驚きのあまり返事をすることを忘れていた。
「私のこのネックレスと刹那のシュシュなんだけど」
「これに関しての記憶が2人とも無いの。だけど、これは何があっても手放しちゃいけない気がするから・・・」
「それはその人からのプレゼントなんじゃないかってこと?」
「そう。もしそうならどうしてそんな大事な人のことを忘れてるのかも知りたい」
「ふーん・・・でも僕からは話さない。違うかな。話せない」
「どうして!?」
「それがあいつとの約束だから・・・いや、望みだから。僕は一番の貢献者の意思を尊重するよ」
最初のコメントを投稿しよう!