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桜花がしばらく家で悶々と待っていると、部屋の呼び鈴が鳴った。
「はい!」
メイクも服も部屋の整理整頓もバッチリ。
何処からでもかかってこいとすら思いながら、桜花は部屋のドアを開けた。
センサー式の芳香剤が小さな音を立てて爽やかな香りを生み出す。
「久しぶり、花」
ドアを開けると、ドアよりも高い身長の男が屈んで部屋に入ってきた。
身長は180超、染めた茶髪に凛々しい眉、瞳、大きな口……桜花にはどれも格好よくて仕方がないと思っているのだが、バイト仲間の皆には『普通』と言われている。
「1ヶ月もメールと電話だけだった!」
桜花は甘えるような声を出し、両手をバンザイするように挙げる。
「うんうん、課題とサークルに追われててね……ごめんよ」
桜花の訪問者である龍は、桜花をまるで子供を抱っこするように軽々と持ち上げる。
「いい匂い……何の香水?」
桜花の肩に顔を近づけて問う龍に、桜花はニッコリと言う
「香水じゃなくて柔軟剤だよ。
けっこういい匂いで好きなんだ」
「ふぅん……甘くてお腹空く……」
龍は桜花を抱っこしたまま、部屋のベッドに桜花を連れて行き彼女を降ろす。
そのまま首筋にキスをしようとする龍の唇を指で押さえ、桜花が立ち上がった。
「まず、夜ご飯食べよ?
何がいい?」
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