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ヴーッ、ヴーッ。
「……ん……」
いつの間に寝ていたのだろうか、桜花はベッドの上でうつ伏せの状態で目を覚ました。
スマホの着信を知らせる振動に桜花は気づく。
「……はい」
誰からの着信かよく見ずに桜花は電話を取る。
『花、起きてる?』
スマホの向こうから彼氏の声がした。
「龍!」
桜花はベッドから飛び起きた。
「あれ、今何時?」
桜花がカーテンを開くと、外はもい真っ暗になっていた。
『8時だけど……花、寝てたの?』
桜花の彼氏である小山 龍は、桜花のことを『花』と読んでいる。
理由は『花のようだから』、だそうだ。
「うん……寝ちゃってた」
てへへ……と桜花は笑う。
『今日、花ん家泊まっていい?』
桜花は東京都のワンルームマンションに部屋を借りていた。
当然、独り暮らしである。
いつでも誰でも家に上がれるよう、整理整頓だけはきちんとしていた。
「いいよ、親来る予定ないし、夜ご飯つくって待ってるね!」
桜花は嬉しそうに答え、電話を切る。
親がたまに連絡をよこす上に家にまで来る時があるから、そういった日と龍がくる日が被ったりすると桜花はショックを受ける。
親も大切だとは思うが、龍に比べてしまったら誰も勝てないのである。
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