1:不安いっぱいの共同生活

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「ねぇ、本気なの?」 私は目を細めて、じっとお母さんを睨んだ。 早速、みんなの引っ越しの荷物がやってきた。 とはいっても、四人の荷物は驚くほど少なかった。 そのくせに、盟数の腕には、新品のパソコン。 瑠離華の腕には、古びた二冊の本を大事そうに抱えていた。 荷物が少ないのはよかったけれど、もう一つ大きな問題があった。 「しょうがないでしょ。部屋がないんだから。」 お母さんが肩をすくめる。 「だからって、私の部屋に二人が住むなんて、狭い部屋がさらに狭くなる。」 そうなのだ。 うちの部屋は、お母さんの部屋と私の部屋とリビングの三部屋しかない。 昨日は、リビングにみんな寝てもらったけど、引っ越してくるとなればそうはいかなくなる。 お母さんの提案で、お母さんの部屋に二人、私の部屋に盟数と瑠離華が住むことになったのだ。 だけど、私はそんなの納得がいかない。 「それじゃあ、お母さんが羅補の部屋に行く?」 「絶対イヤ。」 「………。」 あっ、落ち込んでる。即座に答えたのが、いけなかったかなぁ。 でも、お母さんのことは好きだけど、これとそれとは別の話。 「来一花さん、羅補ちゃんに嫌われたわね。」 四人は笑っていた。 「…最近、冷たいの。思春期かしらねぇ。」 お母さんは、がっくりと肩を落とした。 そんなに落ち込まなくも。 そもそも、私の前でそういう話をするのは、どうかと思う。
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