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「もう!お母さん。これ、さっさと運ぼう。」
私はリビングにおいてあったベッドをつかむ。
私の部屋に三段ベッドを並べるスペースはないけど、天井は異常に高いから、このために三段ベッドを商店街のリサイクルショップから買ってきたのだ。
「…大丈夫?それ、かなり重いよ。私たちがやるわよ。」
「大丈夫ですよぉ、これぐらい。」
「鍛え方が違うからね、羅補は。ほらっ。」
お母さんが反対側を持つと、ベッドはふわりと持ち上がった。
「三十キロってところだよね。」
「そんなもんね。私は片手で十分よ。」
立ち直ったお母さんが、左手だけでベッドを軽く上下させる。
「ちょっとぉ。揺らさないでよ。」
「あっ、ごめん、ごめん。」
お母さんは、ベッドを水平に戻す。
「…来一花さん……娘にいったい、どんな特訓させたの?」
盟数のお母さんは呆れ顔で、額のあたりに手を当てている。
「ふつうのことよ、ふつうのこと。」
お母さんは、首をプルプルとふって言う。
そのわりには目が泳いでるんだけど。
そのまま二人で、ベッドを慎重に部屋に運び込む。
二段目と三段目もかっちり固定して、一段目の上に乗せる。
これで無事、完成。
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