プロローグ

6/6
前へ
/21ページ
次へ
幼い頃から毎朝の十キロランニングや、ちょっとした壁登り、縄抜け、鍵開けはやっていた記憶がある。 他にも、普通のお母さんが教えてくれないようなことを、まあいろいろと。 確かに、ちょっと人とは違うことをやってるなー、という自覚はあったな。 まさかHistoriaの訓練だったなんて、これっぽっちも思わなかった。 「そういうことになるけど、そのおかげで羅補は、明日からHistoriaを問題なく継げるの。文句はないでしょ?」 「あるって!」 力一杯に叫ぶ。 「まぁ、落ち着いて。それより、盟数ちゃんと瑠璃華ちゃんはどう。やってみたくない?」 私の叫びを受け流して、お母さんが盟数と瑠璃華に聞いた。 当然断るだろうと思っていたら、盟数と瑠璃華は コクンと頷いた。 「やってもいいです。」 「わゎ、私も!」 「ちょっと、本気?」 私は耳を疑った。 「そう言われたっていうし、それならしょうがないよ。」 「……同感。」 何よそれ。無気力すぎ! 「しょうがないって、そんなやる気のないことでいいわけないでしょ。ね、お母さん達?」 「「いや、別に……?」」 ちょ、ちょっとぉ。 「それで、羅補はやりたくないの?」 「わ、私?」 話をふられて、ちょっと口ごもってしまった。 「ま、まぁそりゃ、少しは興味あるけどさ……」 最初は驚いたけど、ぜんぜん興味がないわけじゃない。 「よし!なら、決まりよ。」 お母さんが、膝に手を打った。 「ちょっと、まだやるとは言ってな―」 「そうと決まれば、仕事を見つけてあげなくちゃ。デビューにふさわしい仕事。」 「久しぶりの仕事か。…二、三日中には調べとくわ。」 「というわけよ。しばらくは私達から仕事を指定するわ。……それと羅補。」 「……なぁに?」 お母さん達のマイペースぶりに半ば諦めて、私は返事をする。 「今日から、うちに四人が引っ越してくることになったの。仲良くね!」 「羅補ちゃん、これから宜しくね。」 「……宜しくね。」 「引っ越し?四人が?………ええぇぇぇーーー!!?」 そうして、私達は、Historiaになっちゃいました。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加