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「はあぁ~」
「レイちゃんどうしたの?」
ラボを後にした瞬間に出た溜め息を、アネットさんが気遣ってくれた。
エエ人や。
「なんだか、絶望的な話を聞きました……」
「そう気に病むなよ、深く考えずに、ひとまず生き延びることだけ考えればいいのさ」
おお、なんか格好いいこと言ってる!
「フェディ……新人だから今の内に得点稼ごうとしてるでしょ?」
「なっ!人聞き悪いよアネット」
「"フェディ"?」
「フェデリコのあだ名。フェディ影薄いから」
「あのさ、一応、俺って年上だよね?」
アネットさんとフェデリコさんは同期らしく、とても仲が良い。
まぁ、フェデリコさんの立場が弱くて、アネットさんに引っ張られてるみたいだけれどね。
「あ、そうだ!レイちゃん、晩御飯一緒に食べる?」
「いいんですかー?」
「他の皆さんは食べ終わっちゃってるだろうしね」
思いがけず誘われた嬉しい!
まだ一日目にして話し相手が増えたよ!
「ところでレイちゃんさ、その服って学校の?」
アネットさんが私の服装を見て首を捻る。
こっち来てまだ着替えてないんだよねー。
着替えも制服と体操服しかないんだけどね……。
「あ、はい。実は私、支部に来るの忘れて登校しちゃってて……」
「結構ドジっ子なんだぁ」
「うぅ……しかし、私を拉致した人達、妙に手際良かったんですよね~。慣れてるみたいな~」
((拉致って……))
本当に、最初は拉致かと思ったレイちゃんでした。
(あ、そう言えば、まだ第一部隊の人に会ってないよ!)
見事にすれ違ったらしく、本日は結局、誰とも会えませんでした……。
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