防衛班

2/12
前へ
/229ページ
次へ
『緊急指令、緊急指令!嘆きの平原にて、特殊指定アラガミ、ヴィーナスと思われるコアの反応を確認!第一部隊に出動要請!繰り返す!嘆きの平原にて…………』 サイレンと共に、そんな放送が鳴り響いたのは突然の出来事だった。 ホールに集まっていたコウタ以外の第一部隊の目の色が一瞬にして変わる。 「ヴィーナス……って、ヤバいんです……いや、ヤバいの?サクヤさん」 1人状況に置いてけぼりを食らう私は、サクヤさんに質問する。 ヴィーナスなんてノルンのデータベースでも見てないし! いや、ぶっちゃけ全部は見てないからわかんないんだけどさー! 「そこらのアラガミとは明らかにレベル違うわね……」 「ヴィーナスは、複数のアラガミを捕食して、その能力を得た強力なアラガミだ」 リーダーのシンクさんも、完全に任務の顔になり、ヒバリさんに詳細を聞いていた。 「現在、嘆きの平原エリアの小型アラガミはほぼヴィーナスに捕食され、孤立しています。ですが、ヴィーナス自体もかなりの力を得ているものと思われます」 「ヴィーナスが出たって?!」 昇降機から慌てて到着したコウタの様子からも、ヴィーナスって言うアラガミのヤバさが伺える。 配属して間もないのにこの事態。 ゴッドイーターってホントに危険すぎる! 「うし、あんまり暴れられると困るからな、急いで行くぞ」 リーダーの一声が終わるか終わらないかのウチに、ソーマさんもサクヤさんも出撃ゲートからダッシュで出て行った。 私も、焦りながらも後を追おうとした、んだけど……。 「レイ、お前はこのミッションには出るな。」 「え!?でもリーダー!」 「こんな緊急任務で落ち着いて戦うのはまだ難しいだろ。それと、お前はヴィーナスと向き合える技量がまだ付いていない。無駄に傷付くだけだ」 リーダーは、鋭い事をズバッと言って私を止めた。 確かにまだ新米だけど、私も第一部隊なのに……でも下手したら死ぬし……死ぬのヤダなぁ。 私の中の複雑な思いを感じてくれたのか何なのか、リーダーは私の頭をポンと叩くと『防衛班のサポートを頼む』とだけ言って、ゲートの奥へと消えた……。
/229ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加