83人が本棚に入れています
本棚に追加
「うぅ~、腕がキモチワルイ」
神機を整備の人に渡し、さっきの まんまる部屋から出た私は、目の 前のソファーに乱暴に腰を下ろし た。 そんな私に気付いて、目の前のカ ウンターで仕事をこなす受付嬢さ んが声を掛けてくれる。
「適合試験、終わったんですね。 お疲れ様です」
赤毛が綺麗な人だなぁ、と一瞬気 を取られちゃったよ。
「初めまして、オペレーターの、 竹田ヒバリと言います」
「あ、狩崎レイです。よろしくで す」
「良かったですね、試験無事に終 えられて。私も候補者なんですけ ど、もう直ぐ18歳なんですよ。 試験って18までにやらないと、 神機使いになるのは難しいですか ら」
「そうなんですか~」
とても『良くないです』なんて言 えないので、相づちだけは打つ。
するとそこに、カツカツとヒール が床を打つ音を響かせて、あの理 不尽巨乳が現れた。
「狩崎レイ。適合試験合格おめで とう」
あの狐親父とは逆のポーカーフェ イスで祝福されてもなぁ……。
「お前にはこれから、基礎戦術の 習得などのカリキュラムが待って いるが、その前に榊支部長代理の メディカルチェックを受けて貰 う」
「はぁ……」
「場所はラボラトリだ。この階段 の直ぐ上にこのフェンリル極東支 部――通称アナグラの見取り図が あるので、自分の足で行け」
いきなり初めて来た場所を1人で 歩けと言われて困惑すると、『わ かったか?』とか『貴様が昇降機 の使い方さえ間違えなければ迷子 になることはない』とか言われて 渋々足を踏み出す。
まぁ、本当に迷子にはならない見 取り図だったからいいんだけど ねー。
最初のコメントを投稿しよう!