入寮と小さな事件と森の中

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   その後、食器を洗い終わらせたリュミエールは「もう1つだけ質問してもいい?」と訊ねてみたが、レヴィには「ヒューゲルの言っていたことでしたら気にしないでください。リミルには関係のないことですので」と先手を刺された上でベッドに早々と丸くなられてしまった。 「まあ、事情1つとっても人それぞれってことなのかな」  レヴィの体にそっと毛布を掛けてあげながら、リュミエールは感慨深げにつぶやいた。  自分にもいろいろあったように、あの狼人族の青年やこの氷妖精族の少女にも、諸々の(人には言えないような)何かがあったのかもしれない。 「考えても仕方がない……か」  気にならないと言えば嘘になってしまうが、「あなたには関係のないことです」と面と向かってキッパリと言われてしまっては、それ以上詮索するのは野暮というものだろう。  それに、いくら思考をくり返したところでその他のことについてもまだ情報が少ないのだから無駄だと判断したリュミエールは、気を紛らすために翌朝の食事の仕込みでもしておこうかと思ったのだが、今日は仕事以外でもいろいろと──同じ男を何度も(以下略) 「……って、微妙に省略できてないしっ!!」  ガサゴソ  レヴィの寝返りを打つ物音に小さくもビクつき、取り乱しかけていた自分に気づいてまた軽く落ち込んでしまう。そしてその結果、存在感を表しかけていた眠気はまた息を潜めた…… 「ふぁ~~~~~……。今日はもう寝よ」  ……などということはなく、やはり“夜”という時間帯は寝るべきなのかもしれない。これからは、少しの期間かもしれないが本業からは離れることになるのだから。 (明日は謝らないとな……)  その晩、いつもより早い時間にベッドに入ったためか、より一層グッスリと眠れるかもと期待したが、体も脳も疲れていてもモヤモヤが解消できていないと認識しているのかなかなか寝つくことができなかった。  この日の夜も、それなりに長く感じた。
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