入寮と小さな事件と森の中

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    07 【学生寮】内外で少々の“コト”があった翌朝――  カーテンを開け、窓の向こうに広がる薄桃色の空を眺めながら、リュミエールは心の中で小さく息を吐き出した。  昨晩寝る時になんとなく予想をしてはいたが、仕事のタイムサイクルが体に染み付いていたせいかこんなにも朝早い時間に目が覚めてしまった。だからといって眠気が残っているわけではなく、どちらかと言えばすっきりしていると言えなくもない。  しかしながらリュミエールは「う~ん」と伸びをして、朝の作業という名の残業のようなものに移る。  可愛らしい(カチャカチャ)小鳥たちの声で(カチャカチャ)目が覚めたわけではないが(カチャカチャ)、鮮やかな朝日が拝めたり(カチャカチャ)、眠気がほぼないくらいにすっきりとした目覚めだったり(カチャカチャ)。“早起きは三文の徳”とはよく言うが……、これは少し違うか。  などと思いながら作業しているうちに少し丈長の首飾りが完成。胸元に当たる部分には“水晶石”と呼ばれる鉱石を削って作った水玉の形を模したペンダントがつけられており、リュミエールが今首から提げているものとお揃いである。 「おはようございます、リミル。朝が早いのですね……」  ボサボサの寝癖が目立つ髪を掻きながら、レヴィがまだ眠たげにあくびをしながら起きてきた。 「う、うん、まあ……ね。仕事柄……というか職業病というか、体が覚えちゃってるみたい」  眠たげとはいえレヴィの反応にリュミエールはあわてて“物”を後ろ手に隠してしまう。後ろめたいわけではなく、ましてや何も警戒する必要がないと頭では分かっていても、しかし、時として本人ですら理解不能な反応をしてしまうこともある……のかもしれない。  あはは、と力なく笑うリュミエールに、「そうですか」とレヴィは洗面所へ洗顔に行った。  その隙に、リュミエールは“物”をしまって朝食の支度に取りかかる。  溶き卵に食パンを浸し、油を引いたフライパンで焦げ目がつくぐらいまで焼く…… 「今朝は焼きトーストですか」 「うわぁっ!?」  いつの間に背後に立っていたのか、レヴィの声にフライパンの上で踊る食パンよりも大きく驚いてしまうリュミエール。飛び上がるほどなのだから、その度合いもお分かりいただけるだろう。
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