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「そんなに驚かなくとも、あなたがいつ・どこで・何をしていようと自分は気にしませんよ?」
「えぇ~っと……」
明らかに気にしていそうな目をするレヴィに気圧され、視線を宙に彷徨わせてしまうリュミエール。
そんな彼女に、レヴィは言葉だけで詰め寄る。
「もしかして、バレていないと思いました? あそこまであからさまな反応をしておいて」
(ですよねー……)
「それじゃあ……、まあ、別に隠す必要もなかったんだけど」
互いに食卓の席に着いたところで。
「はい、コレ」
リュミエールは“例の首飾り”をレヴィに手渡した。
「何ですかこれは」
現物を見たことがなかったのか、レヴィは下から上から右から左から前から後ろから、とにかくあらゆる角度から品定めするようにくるくると手のひらで転がし始めた。
「通信用チャームよ。この水晶石に龍気を注げば相手と連絡が取れるの」
「いえ、自分が訊ねたのはそういう意味ではありません。もちろん使い方も知りたいところではありますが、一番は『どういうつもりですか』ということですので」
今度はリュミエールが少しだけ困る番だった。
「どういうつもりかと訊かれても、こうして知り合えた縁を祝して?」
「疑問形で返されても、何を仰りたいのかが分かりませんが。それに、とても祝福しているようには思えませんので」
それに、とさらに言葉を重ねてレヴィは不意にリュミエールに背を向けた。
「自分にそのようなことをしても、とても意味があるとは思えないのですが。むしろ、困るのはリミル──あなたの方だと思いますので」
「いやいや、あたしとしてはそんなに深い意味があったわけじゃないんだけど……」
「いえ、こちらこそお分かりになってくださったのでしたらそれでいいです。
ですが、自分に贈り物のようなことをするのは、今回を最初で最後にしてください」
「話は以上です」と締めくくり、レヴィは席に着いてリュミエールが差し出した首飾りを身につけた。
その時点で言えばよかったのだが、リュミエールは自分の失策(?)に気づく。
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