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「どうしました、リミル。朝ごはんを食べないのですか?」
「い、いや、食べるよ? もちろん食べるんだけど……」
まるで気づいていない──気にしていない(のかな?)──様子でフルーツジャムを塗りたくった焼きトーストに噛り付くレヴィに、リュミエールは戸惑ってしまった。
なぜなら、彼女の胸元には水晶石が2つ。だが……
(どう言えばいいのよ……、言ったら分かっちゃう、というか分かってるよね……きっと……たぶん……)
「ところでリミル、これは2つで1つの品物なのですか? なんだかガチャガチャするのですが」
気づいていないわけではなく、そもそも気にしているわけでもなく、
なんじゃそりゃあああああぁぁぁぁぁ~~~~~!!
首を傾げつつ焼きトーストを頬張る氷妖精族の少女に対して自分が抱いていた印象を、“少し天然”から“想像以上の天然”へランクアップさせることとなったリュミエールだった。
その後、食事の合間から食後にかけて水晶石の首飾りが2つで1つではなく1つずつの代物であることを説明したり、首飾りを2つも作った理由を問い詰められ警告を受けたりすることしばし。
「どうしてこうなるのよ! いつも通り早起きしたっていうのに!!」
「リミルがさっさと説明しないからいけないのです。つまりは自業自得ですので」
そんな無駄だと分かる体力消費を行いつつ階段を駆け下り、【女子学生寮】を出てからは式場まで猛ダッシュ。
とはいえ、【女子学生寮】から言うほど道のりは長くなくすぐに着いたのだが、リュミエールとレヴィが“新入生歓迎の儀”と銘打たれた看板の掲げられたドーム状の会場に入ってみれば、そこにはすでにたくさんの人がわらわらと集まってきていた。
その中で2人に気づいた青年が近づいてきて、その隣にべったりと寄り添う黒髪の女性──レヴィ曰く“胸だけ立派な腐れビッチ”らしいが──はレヴィと視線をバチバチとやり合う。
「遅かったな」
「悪かったわね、あたしにもいろいろとあるのよ。
それと……さ」
視線をキョロキョロと彷徨わせつつ顔を仄かに朱に染めたリュミエールは、手を震わせながら“例の物”を懐から取り出した。
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