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「……おい、これはどういうことだ」
その結果に納得がいかないのか、なぜかライラックが不機嫌な声を出した。
「俺に訊かれても困るんだが。
珍しいことなのか?」
「珍しいだと!?」
今度ははっきりと周りの人たちにも届くほど声を荒げるライラック。
「“闇”と“氷”の“二属性持ち”など見たことないぞ!?」
「珍しさの基準が分からないんだが……」
「いいか!?」
なぜか熱を持ってしまった豹人族の女性は身を乗り出してきた。
「普通“二属性持ち”と言えば“水”と“氷”のように似通ったものか“火”と“水”のように対極のものを所持しているものなんだ!
それなのに何なんだ貴様は!? “闇”と“氷”の「はいはい、そこまで」」
どうやって彼女の熱を冷ましてあげればよいのか、それは【ドランヴァリエ竜騎士学院】学院生徒会長であるクロウィル=ニルバースが自ら実践してくれた。しかし、チョップ1発で黙らせるとは、この人恐るべし。
「何なんだ、いったい……」
「ごめんね、ライってば珍しいものに目がないというか……」
「そのわりには熱の入れ方が尋常じゃないように見えたんですけど……」
「まあね、特に魔法に関しては熱心なんだよ。彼女の家系、魔法士界でも下の方のクラスだから、それを未だに引きずってしまってるんだよ」
「よく分からないが、引きずるほどのことなのか、それは?」
ここでもやはり空気を読まない発言が飛び出すヒューゲル。しかしそれは、魔法士界に限らず全てにおいて言えることなのかもしれない。
「どういうこと?」
「単純に下とか上とか関係あるのかと俺は思うんだが」
するとどうだろう、クロウィルが相好を崩した。
「おもしろいこと言うね、ヒューゲル君。僕が気絶させておいて言うのもあれだけど、この子にも聞かせてあげたいよ。
もしよかったらもっと話をしたいんだけど、そういうのは僕が決めることじゃないしね。
それじゃあ、いい返事を待ってるよ」
「ほら、行くよ、ライ」とクロウィルはライラックをほんの少しだけ危なっかしく引きずりながら会場を後にした。
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