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【属性検査】を終えると、今度は外が騒がしくなっていた。
何が行われているのかは分からないが、少なくとも王都【ラ・ヴェニュス】の街中で聞いた競りや値切り交渉のような声ではないだろう。しかし、それに付随するのだろうか、『新聞部をよろしくお願いしまーす!!』などといった誘い文句まで聞こえてきている。
「お~、【部活の勧誘活動】は今年も盛り上がってるみたいだね~」
おとぼけのようなミロスの発言に、ヒューゲルはピクリと反応を示した。
「ギルド!? そんなものがあるのか!?」
それを落ち着かせるのは、すでに定着化してきているホーウィルの役目だった。
「安心しろ、青年。【ギルド】っつってもお前さんの考えてるような堅苦しいもんじゃねぇから。簡単に言えば青年嬢ちゃんたちの集会みたいなもんだ」
「本当に簡単に言いましたね」
「……レイヴィア、お前さんは俺を何だと思ってるんだ」
「オッサン、その話は今度家族水入らずの場で話せ。
それで、もしかしてそれは、全員参加型だったりするのか?」
「もしかしなくとも全員参加型だ。
もっとも、そんなことを言ったところで青年には関係ないだろうがな」
「ちょっとホーウィル~、なにムキになってるのさ~」
「あぁそうだな、俺には関係のないことだ」
「ほ~ら~、ヒューくんも拗ねないで~」
意地の張り合いのようなことをする2人の間でオロオロするミロス。そんな3人を見て、レヴィは小さく「……馬鹿っぽい」とつぶやき、リュミエールとサクヤも男2人のやり取りに目を細めるのだった。
「まあ、頑として入らないと言い続けたところで、どっかの【ギルド】に所属してもらうことになるんだがな」
「何度誘われようと断り続けるだけだ」
「青年のことだからそう言うだろうとは思ってたけどよ。
それなら、気が向いたら一度ここに顔出してみたらどうだ。ちょうどスカウトもされたことだし」
メモ用紙のような小さな紙切れを1枚ヒューゲルに手渡して、「それじゃあな」とホーウィルは会場を後にした。ミロスも少し遅れてついていく。
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