入寮と小さな事件と森の中

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    ‡ ‡ 【属性検査】を終えると、今度は外が騒がしくなっていた。  何が行われているのかは分からないが、少なくとも王都【ラ・ヴェニュス】の街中で聞いた競りや値切り交渉のような声ではないだろう。しかし、それに付随するのだろうか、『新聞部(ゴシップ)をよろしくお願いしまーす!!』などといった誘い文句まで聞こえてきている。 「お~、【部活(ギルド)の勧誘活動】は今年も盛り上がってるみたいだね~」  おとぼけのようなミロスの発言に、ヒューゲルはピクリと反応を示した。 「ギルド!? そんなものがあるのか!?」  それを落ち着かせるのは、すでに定着化してきているホーウィルの役目だった。 「安心しろ、青年。【ギルド】っつってもお前さんの考えてるような堅苦しいもんじゃねぇから。簡単に言えば青年嬢ちゃんたちの集会みたいなもんだ」 「本当に簡単に言いましたね」 「……レイヴィア、お前さんは俺を何だと思ってるんだ」 「オッサン、その話は今度家族水入らずの場で話せ(・・・・・・・・・・・・・・・・・)。  それで、もしかしてそれは、全員参加型だったりするのか?」 「もしかしなくとも全員参加型だ。  もっとも、そんなことを言ったところで青年には関係ないだろうがな」 「ちょっとホーウィル~、なにムキになってるのさ~」 「あぁそうだな、俺には関係のないことだ」 「ほ~ら~、ヒューくんも拗ねないで~」  意地の張り合いのようなことをする2人の間でオロオロするミロス。そんな3人を見て、レヴィは小さく「……馬鹿っぽい」とつぶやき、リュミエールとサクヤも男2人のやり取りに目を細めるのだった。 「まあ、頑として入らないと言い続けたところで、どっかの【ギルド】に所属してもらうことになるんだがな」 「何度誘われようと断り続けるだけだ」 「青年のことだからそう言うだろうとは思ってたけどよ。  それなら、気が向いたら一度ここに顔出してみたらどうだ。ちょうどスカウトもされたことだし」  メモ用紙のような小さな紙切れを1枚ヒューゲルに手渡して、「それじゃあな」とホーウィルは会場を後にした。ミロスも少し遅れてついていく。
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