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ギルドなどの団体には属さない。
騎士隊を離れてから、ヒューゲルは自分の中だけで密かにそう誓いを立てていた。
ロディには自分が隊を率いるようになったら入ってほしいというような誘いを受けてはいたが、正直なところどうしたものかと今でも悩んでいる。
先に述べたように、ヒューゲルは自らに隊には属さないことを誓っている。しかし友人の頼みを無碍にすることもできず、その間で迷っていた。
自信を持って肯定することはできず、かといって全面的に否定することもできない。
そんなわけでひとまず保留という形を取らさせてもらっているのだが、未だに自分の中で踏ん切りがつかない。
ロディと隊を組んでもう一度、今一度騎士として活動する。それも悪くない。
悪くないとは思うのだが、またあのようなことがあっては、今度こそもう2度と立ち上がることすらできなくなってしまうかもしれない。そのことを恐れている自分がいる。
誰のせいでもない。故に誰かに責任や罪があるわけでもない。すべては自分が引き起こし、周りを巻き込んでしまったことだ。
だから、誰にも話せるわけがない。誰かに話すことで確かに気が楽になるのかもしれない。だが、それはおそらく違う。誰かに罪の意識を植え付けて勝手に自分が楽になっているだけだ。考えすぎかもしれないが、そう考えてしまうのがヒューゲル=ヒュライハントだった。
「また考え事ですか、ヒューゲル」
レヴィの口調はいつも通りキツめだったが、しかし、辛辣なようでいてどこか暖かさを感じる。
「なんでもない、すまない」
「なぜあなたが謝るのかは分かりませんが、そちらのクシャクシャになっている紙は何なのですか?」
レヴィの言う通り、また無意識のうちに手に力が入れてしまっていたようだ。
「……そんなに顔を顰めることはないと思いたいがな」
クシャクシャにしてしまっていた紙には、一言、
バリエール
つい最近聞いた単語が羅列してあった。
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