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「オッサン、何か企んでるんじゃないだろうな……」
どうして【生徒会】なる組織に入れようとするのかは分からないが、タイミングとしてはバッチリなのではないだろうか。
決して疑っているというわけではないが、それでも「はいそうですか」と応じることはできない。たとえホーウィルが相手であろうとも、人から何か勧められても自分の目や耳で確かめるまでは信じ、そして動けなくなってしまっている。
故に100%否定しているわけでもなく、だからこそヒューゲルも困っているのだ。
それに、あの女の言葉のこともある。
何を意味しているのか、あの女の考えていることは未だに分からない。“死人に口なし”という便利なのかどうかが分からない言葉もあるぐらいだ。奴の真意を確かめる術はもうどこにも残っていないだろう。
それにしても引っ掛かる。
『 父親のことが知りたければ、【竜騎士学院】に行くことだ 』
あの言葉が意味しているのは、いったいどういうことなのだろうか。
(奴は親父の知り合いなのか……?)
まさか。もしそうだとしたら、自分も騎士になる前から面識があってもよさそうなものだ。
それとも──、てっきり戦死したとばかり思っていたからそのままにしていたのだが、
(まさか、親父は死んでいないのか……?)
それこそ本当にまさかな話だ。ヒューゲルも自分で考えていてそう思ってしまう。
もしそうなら、どうして顔を合わせに来ないんだ。
それができなくとも、なぜ「生きている」という主旨の連絡を一報ですら息子たちに寄越してこないんだ。
(……いや、待て)
そこまで思考を巡らせて、ヒューゲルは一旦考えを立ち止まらせた。
なぜそう決め付ける。あの女の言っていたことがすべて真実だとはまだ決まったわけじゃないだろ。
──真実か
──それとも虚偽妄言の類か
それを見極めるために、ヒューゲルはここまでやって来た。
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