入寮と小さな事件と森の中

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 サクヤの場合はどちらかというと勧誘していたギルドに忠告して丁重にお引き取りしてもらうように頼むだけでよかったのだが、リュミエールの場合は本当に“暴力沙汰”にまで発展する寸前だった。  幾度となく振りかぶったであろうその腕を取り押さえるのもやはりヒューゲルの役目で、時にはレヴィやサクヤも戦線に参上する始末。 「結局、こんな時間になってしまったな……」  その結果、4人が【学生寮】への帰路に就いたのも、夕陽が地平線の彼方へ完全に沈んでしまった頃だった。 「なにを落ち込んでいるのですか、あなたらしくもない」 「まさかあんた、剣術の鍛錬するつもりだったとか?」 「悪いか。  まあ、終わってしまったことは仕方がない。明日の朝早くにでもすればいいだけのことだ」 「それでしたら!」  突然サクヤが3人の前に先回りし、そして両手を合わせながら至極当然のことであるかのように満面の笑みでこう言った。 「せっかくですから、一緒にお食事でもいかがですか? サクヤが腕によりを掛けてお作りしますよ」 「それは絶対にダメ!!」 「それは絶対にダメです!!」  すぐさまリュミエールとレヴィが否定した。そもそも、なにが“せっかく”なのかがまったく分からない。  その後さらに数瞬(約数分)かけて(女性3人で)行われた論争の結果行き先が決まり、帰って寝るだけの予定に変更したばかりのヒューゲルもなぜか引っ張られる流れとなった。  ──因みに、サクヤが勧誘されて入ろうか迷っていたのは、【愛の料理研究会】というメンバーが女性だけで構成されたギルドだった。  
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