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「サクヤ、あなたに訊きたいことがあるのだけれど」
「はい?」
お客様方を帰した後、食器類等々の洗い物を終えたヴェルがリビングに向かうと、サクヤはテーブルに突っ伏してくたぁ~っと伸びていた。テーブルと体に挟まれて、ただでさえ存在感の強い爆乳がさらに存在感を増してしまっている。
「訊きたいこと、ですか? サクヤに答えられることでしたらお答えしますが、いったい何でしょうか?」
それが彼女なりの人の話を聴く姿勢なのか、サクヤは顔を上げると椅子に深く腰掛け直して背中を伸ばした。となると、両手は膝の上だろうか。
「それじゃあ、回りくどいのは嫌いだから単刀直入に訊くけれど」
サクヤと向かい合う形で椅子に腰掛け、彼女を指差したヴェルは、一連の会話の中で引っ掛かったことを訊ねた。
「あなた、あの青年君のことを様付けで呼んでいたけれど、いったいどういう関係なのかしら?」
すると何を勘違いしたのか、サクヤはなぜか赤面して途端にあわてふためいた。
「ど、どどどどういうかかか関係といいいい言いますのは!?」
「何やら興奮しているようだけれど、あなたが想像しているような質問ではないわよ。
そうね、極端な話、あなたはあの青年君の何なの? 敵……ではないようだけれど、味方なの? それとも奴隷?」
三択の選択肢として最後のものはいかがなものかとヴェルは自分でも思ったが、サクヤには伝わらなかったらしく首を傾げられてしまった。どうやらただ単に彼のことを好いているだけのようだ。もっとも、この場合は“ただ単に”という単語で割り切ってしまっていいものなのかどうかは分からないが。
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