戦闘鍛錬と小競り合いと心の靄

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「おはようございます、ヒューゲル様」 「ああ、おはよう……どうしたんだ、こんな朝早くに3人揃って」 「『どうしたんだ』ではありません。自分たちはあなたを迎えに来たのですよ」  他の2人も頷いているところを見るとなるほどそうなのだろうが、はて、今朝は何か約束を取り付けていただろうか。  いや。自問するまでもなくヒューゲルは自分の考えを否定した。  首を傾げるそんな彼に、レヴィが言葉を続ける。 「早速ですが、今朝は自主鍛練ですか?」 「……まさかとは思うが、お前たちもついてくるつもりなのか」  そう言うヒューゲルの表情は、とても(まさか!?)などと思っているようには見えず、むしろ既に諦めているようにも見えた。  それが分かったからなのか知らないが、レヴィはいつもとトーンを変えずに返す。 「そのまさかです。今朝偶然にも(・・・・)3人とも早起きをしましたので。  もちろん、あなたがご一緒しても構わないと仰るのなら、の話ですが」  レヴィの目がいつになく怖い気がするのだが、遠回しに問答無用にでもついていくと言っているのだろうか。それに、“偶然にも”と強調までして言っていたが、実際は3人で示し合わせただけではないのだろうか。  まあ、それはともかく。 「たしかに、拒む理由が俺にはないが「「ヒューゲル様!!」」 「なんだサクヤ」  セリフを遮られたとはいえ、ヒューゲルは落ち着き払っていた。  その逆で、サクヤは歳不相応(?)に両手をブンブンと振り回しながら異議を申し立てる。 「『なんだ』ではありませんよ! 傷だらけではありませんか! 昨晩ヴェルと何があったのかは知りませんが、授業が始まるまではお体を休めてください!!」  見られていたのか……  しかし、 「そうはいかないだろ、何事も最初が肝心とも言うし」  妙なところで(?)正論らしいことを言うヒューゲル。 「ですが!」  なおも食いつこうとするサクヤだったが、今度は他から追及されることに。
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