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「お前こそ、いつもの冷静さが失われているように見えるぞ」
「……っ!?う、うるさいです!じ、自分にも自分の事情というものがあるだけです!ヒューゲルには関係ありませんので!!」
自分の元へと帰ってきたククリナイフを握るなり振り回すが、顔が真っ赤になっていたり、振り回す腕がまるで子どもがただただ暴れているだけのようにしか見えず、ヒューゲルの言う通り“いつもの冷静さ”は失われていた。
そんなレヴィを援護するためなのかは分からないが直槍を突き込んできたリュミエールは、しかしサクヤの大鎌に行く手を阻まれていた。
「なんで邪魔するのよ!」
「傷だらけの人をさらに傷つけようとするのを邪魔して何がいけないのですか!?」
そんなこんなで必然的ともいえる偶然で2vs2の対戦になってしまったが、その他自然的に組み込まれた時間制限などの諸事情から、半刻(約30分程)で切り上げた一行は再びそれぞれの【学生寮】の自室へと戻ることにした。
帰る道中、背中越しに「まだ……続けますよ…。自分は、まだ…動けますので…」などといった明らかに息が絶え絶えになっている声が聞こえてきたが、それ以外の面々も多少度合いは違えども呼吸を乱している様子だった。
あとはまあ、この後の授業ででも発散してもらうことにしよう。ヒューゲルはそう考えることにした。何に対してストレスなどを感じているのかは分かっていない様子だったが。
ヒューゲルにとって朝一番に行う運動は気持ちのいいものなのだが、他の人にしてみれば少しどころではなく感じるものが違うのかもしれない。その程度の解釈だった。
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